山田念珠堂の房は自社工房でも作られます。数珠メーカーの中でこれだけの仕事が出来るのは山田念珠堂だけと私達は誇りにしています。
数珠と言うと、どんな玉の素材なのか、ということがまず気になる方が多いと思いますが、数珠にとって房はとても大切なものです。数珠玉の中を通る紐が親珠の中を通り、房へと繋がります。数珠の玉は菩薩修行の階梯のシンボルとされ、親珠を通り結ばれ撚られる房となることで、数珠は仏の法具となり、持つ方の幸せを導きます。

2020年、山田念珠堂のオリジナル釈迦凡天（商標登録済）は30周年を迎えました。登場以来「釈迦凡天」という名前の響きの良さもあり、たくさんの方々にご愛用を頂いてきました。しっかりとした編み込みを持ち、独自の技法により軸糸と凡天を繋ぐことで長くお持ち頂ける房に仕上がっております。

伝統的な梵天房。そのふわふわとした手触りは独特なものですが、作るためには熟練の職人の手技を必要としてきました。現在、美しい球形の梵天房を作ることができる職人は全国でも少なくなってきています。山田念珠堂では熟達の数珠職人が梵天房を作る他、梵天房の工程を踏襲した機械化製造に成功。大量の梵天房のご要望にもお応えすることができます。

数珠の糸が突然切れてしまい、玉が飛び散ってしまう。そんな体験をお持ちの方も多いかと思います。数珠の玉の中を通る紐が切れてしまうのは、玉と糸が擦れ合うからです。山田念珠堂の数珠はこの突然の糸切れを防ぐために、玉の中を通る紐を２本にしております。２本にすることで１本の糸が切れても玉が飛び散ることがありません。2本の糸が玉を通るので、親玉と呼ばれる大きな玉からは４本の糸が伸び、この先に房が付くことになります。中通しの糸には伸縮性に優れたウーリー糸を採用しております。

糸が切れないための工夫として、山田念珠堂は玉の中の研磨、糸が通る玉の入り口の研磨を、より丹念に行っています。また２本の糸を通すために穴は少し大きめとなっております。1級の石を用い、見た目の美しさを落とさず、大きめの穴を開けることは手間がかかり、大変贅沢な玉加工となります。

山田念珠堂は本社工房内で様々な房、部材を製作しております。数珠屋と呼ばれる方々が用いる房は専業メーカーから仕入れるのが通常ですが、房メーカーは減少し、一部の房には海外製の房が付けられています。山田念珠堂は将来の安定的な供給を見据えて、社内に貴重な房編み機を導入。房の内製化を進めることで、納期・品質などのご要望に応える体制を整えました。梵天房に関しても量産を可能にする機械化を整えております。

数珠を持った時の感触で大切なものがしなやかで弾力のある軸にもあります。軸は親珠と房を繋ぐ組紐で、伝統的には職人の手技によって作られてきました。山田念珠堂では職人技に加えて、軸を編む自動化機械を数多く社内に導入し、職人のレベルに左右されない品質の一定した軸作りを実現しております。

１本の糸を、６本、８本、１０本等の合糸にし、更に撚りをかけ、
機械にセットする為の糸を巻いています。