数珠の選び方

数珠の選び方(39) 数珠の108玉はどこを数えているのですか。 

Q:数珠は108玉と言われますがどこを数えて108玉としているのですか。

A:本連数珠と言われる宗派毎の数珠では、主玉(おもだま)の108玉の数をもって108玉としています。親玉や四天の数は108玉に数えません。

Q:なぜ108玉にしているのですか。

A:お経に百八玉の数珠のことが記されているからです。代表的なものには『木槵子経』があります。「もくげんしきょう」と読みますが、単体で「木槵子」の場合は「もくげんし」と読むそうです。木槵子とは「むくろじ(無患子)」のことで、簡単に言えば木の実です。

この『木槵子経』にはお釈迦様が108玉の木槵子で作った数珠をいつも手にして、仏法僧の名を称えれば、災いや病を避けることができると説いています。

Q:むくろじの実と言えば、羽子板の羽根の下に付いているものですか?

A:経典の中の「むくろじ」「木槵子」が実際にどのようなものなのかは分かりませんが、「無患子」と書く場合、患が無いと書きますので、災いを避けるという意味もあるのでしょうね。

Q:なぜ108なのでしょうか。

A:煩悩の数が108と言われており、その煩悩の数に当てていると言われています。煩悩を消滅させるのが数珠ということですね。『木槵子経』には仏法僧を百万回称えると、煩悩を滅すると書かれています(※)。

Q:へえ、そうなんですね。108玉ではない数珠もある思いますが、その数珠でも煩悩を滅することができるのですか。

A:『木槵子経』と同じく、数珠のお経として知られている『校量数珠功徳経』にはやはり、数珠の玉としては108玉が満数、つまり完全と記されています。でも玉が得難い時には54玉、24玉でも大丈夫と記されています。

Q:なるほど、でも108玉が完全なのですね。

A:ハミング数という数字の並びがあるのですが、108は調和の取れた数のひとつであるとされています。たしかに108は完全な数のひとつだとは思いますが、54、14もハミング数のひとつです。

Q:煩悩が108もあるということも驚きでした。

A:大晦日の除夜の鐘を108回鳴らすのも、煩悩に倣ったことと言われていますね。この他、菩薩の階位、修行のプロセスである十信、十住、十行、十回向、十地の五十位に四善根である煗法(なんほう)、頂法(ちょうほう)、忍法(にんほう)、世第一法(せだいいっぽう)を加えて五十四位として108の半分の54玉とし、残る54玉をお釈迦様の修行の階位とする説もあります。

最初に説明しました通り、主玉が108玉の数珠は一連持って頂き、普段はそれ以外の略式数珠を持って頂くことともお勧めします。108玉の数珠でしたら、宗派を問わない振分けの数珠もお勧めです。

Q:では、私に似合った108玉の振分数珠をお勧めください!!

※若復能滿一百萬遍者 當得斷除百八結業。始名背生死流。趣向泥洹。永斷煩惱根。獲無上果。(『木槵子経』より)
(もしまたよく 仏法僧(を称えること)100万遍を満たした者は、まさに百八の結業(煩悩)を断じることを得ん。はじめて生死の流れに背くと名付け、泥洹(涅槃)に趣き向かうことなり。長く煩悩の根を断じて、無上果(悟り)を獲ん)