数珠の選び方

数珠の選び方 11. 宗派による数珠の違いはなぜあるのですか。

 宗派によって、より大切と考えている教えや作法が違うからだと思います。日本に伝わったお数珠は、日本で独自の形に進化していったと考えられます。1例を挙げて、ご説明したいと思います。

山田念珠堂
浄土宗 シーブルーカルセドニー 8寸 六万遍

宗派ごとに仕立てられている数珠を本連数珠と言いますが、特に形状に特徴があるのは、浄土宗の本連数珠で、「日課念珠」と言われるお念珠です。輪違いに数珠が仕立てられており、金属の輪を使って房が組付けられています。

浄土宗は、「南無阿弥陀仏」とお念仏を唱えることを大切にしています。そこで、より一層多く唱える事のできる数珠が作られました。法然さま(浄土宗の開祖)の弟子の阿波介の考案と言われています。
阿波介は日頃、108玉の念珠を2連持ち熱心に念仏を数えていましたが、不便だったり糸切れが起こったりと困っていました。そこで、1連でたくさんの念仏をカウントできる念珠を考案したという事です。玉をつまんで繰っていっても、房は輪に付けられて主玉に通っているので、常に下の位置にくるよう工夫されています。

「三万繰浄土」と呼ばれる念珠は、その名の通り、3万回以上。「六万繰浄土」は6万回以上、カウントが可能です。すごいですね。

ご興味のある方は、HP内の「数珠の魅了を伝える 数珠の持ち方と宗派」の「浄土宗」をご覧ください。

その他にも特徴的な本連数珠はたくさんあります。房の部分の仕様が違ったり、主玉の形が違ったり。お数珠を観察すると、宗派ごとの思いが感じられます。