山田和義の数珠の話

山田和義 数珠の話(8)星月菩提樹 砂籐子と紅籐子

 菩提樹はお釈迦様がその下で成道されたことで知られ、仏教のシンボルツリーとなっています。数珠にも「菩提樹」「菩提珠」と称する製品がたくさんありますが、シンボルツリーである菩提樹との関係性は薄いといえます。『校量数珠功徳経』には数珠の玉として「菩提子」の功徳が説かれていますが、「菩提」とは仏になることで、「菩提子」とは仏を目指す人、という意味となりますので、仏教法具としての数珠にはまさにぴったりの用語となります。
 弊社では菩提樹の材木を材料とする数珠も仕立てておりますが、今回はまず星月菩提樹について説明してまいります。

左:まだ使いはじめの紅籐子の星月菩提樹
右:使い込み 艶やかな飴色に変化した念珠 
少し大きな赤い親玉脇の明るいクリーム色の玉は、修理で補った新しい星月菩提樹
星月菩提樹の修理の際には、このようなアンサンブルも楽しむことができます

 星月菩提樹が〝木の実〟ではなく、〝木の種〟であることは、余り知られていませんが、星月菩提樹の代表的なものには砂籐子と紅籐子があります。

 砂籐子は、完全脱色した上で塗料で再仕上げを施し、100%の歩留り(全てが製品の玉となる)で加工され安価に販売されています。 
 紅籐子は本来薄いブラウン色で〝星〟と称する点も鮮明です。あく抜きをし、天然クリーム色に仕上げ、一級品のみを選別し製品に仕立てています。

紅籐子の星月菩提樹。 天台宗の本連数珠は、寸法と玉数が決められており、
手間をかけて玉の準備が必要。