写真は青虎目石・1級製品
全ての玉が深い濃青を湛え筋目も揃う 日本製のタグが付けられる
山田念珠堂では長らく台湾の数珠玉加工工場で「共摺り磨き(ともずりみがき)」された1級品の玉を中心としてきましたが、ランクダウンの製品であるディフュージョン製品を2018年より扱い始めました。ディフュージョン製品で使われる玉は石のクォリティーが低く、傷を意図的に隠したり、研磨の手間を省くような、含浸・コーティングによる艶出し玉であることを主な特徴としております。元来の素材を吟味した「共摺り磨き」や「手磨き」などによる1級製品・高級製品には「日本製」「伝統と技術 日本製」と記したタグを付け、ディフュージョン製品には「ディフュージョンラインとして、海外品質の加工石を使用して国内で製作した日本製の念珠です」と記したタグが付けられます。一級製品・高級製品の石も、素材の特性を活かして加熱処理等により色を発色させたり、ターコイズやラピスラズリのような比較的柔らかい石の強度補強のための含浸・コーティングは行っていますが、ディフュージョン製品の原材料はあくまでも2級品であり、天然石ですが加工品であることには変わりがなく、グレードの下がる玉であるということをご承知下さい。
水晶・メノウ・ヒスイなどの天然石の場合、原石があり、厳選し共摺り磨きや手磨きなどによる艶出しのみで仕上げる部分はごく一部です。同じ原石からでも傷がある原石は含浸・コーティング加工の対象となります。傷のある原石を意図的に含浸・コーティング仕上げを行いますので、廃棄される石はほとんどなく全てを製品として安価に提供できます。パワーストーンや通販(ネット通販)などで安価に流通している数珠の中には、このような色の上塗りのようなコーティング・含浸加工された傷隠しの製品が多いにも関わらず、1級品と同様の価格で販売されているものもあります。
共摺りや手磨きなどの研磨、艶出しという工程は非常に手間と時間がかかるものです。研磨の後に、自然石特有のさまざまな色を持つ玉を1つずつ選び取り、色合いを揃えた数珠を製作するのですから、コストがかかります。山田念珠堂の1級製品や高級製品は共摺りや手磨きによる玉を使用したもので、製品には日本製のタグが付けられます。
一方で色の上塗りのような、人工的に表面を一様にコーティング着色した製品は玉の色揃えも容易で、選別のコストもかかりません。デュフュージョン製品にはこうした玉が使われており、デュフュージョン製品であることを示したタグを付けております。
水晶の場合ですと、天然水晶の他、人工水晶・溶錬水晶(ようれんすいしょう)がありますが、水晶という商品名のみで人工的に作られた「ガラス」より安い「天然石と称する水晶」が実際には流通しており、皆様には注意して頂きたいと存じます。実は宝石の業界でも「樹脂含浸処理」「コーティング」のことが問題として取り上げられており、その鑑定はなかなか難しいもので、お客様の目では判別することは、なかなか容易ではありません。
ディフュージョン製品は数珠玉の穴の中の加工が粗く、早い段階で中通しの糸が切れて数珠がバラバラになる可能性がありますが、山田念珠堂では「なるべく切れにくい糸」を採用することで、製品化しております。その糸とは、縦・横・捻じれに強い素材「ポリエチレン」で、弾力性と収縮性がない為、リボン状に平糸を作りこれをツズラ織に織り込み、撚りを掛け合糸し、弾力性と収縮性を作り出す工夫をしています。さらに色糸の開発ができ、赤・ピンク・紫・グリーン・茶・白色を染色でき、弊社の自動組機により組み上げることで確かな製品とさせて頂くことができました。